平昌オリンピックから正式種目となったカーリングのミックスダブルス。
2018年日本ミックスダブルスカーリング選手権で女子カーリング代表の藤澤五月選手と男子カーリング代表の山口剛史選手のペアが優勝したことはまだ記憶に新しいのではないでしょうか。
オリンピックでは2018年からですが、世界ミックスダブルスカーリング選手権は2008年から開催されています。
2018年世界ミックスダブルスカーリング選手権に初めての日本代表として出場した藤澤山口ペアは1次リーグを勝ち抜いてベスト8進出、準々決勝で韓国に敗れて順位決定戦で5位となりました。
2019年の世界選手権でも日本代表の活躍が期待されるミックスダブルスは4人制カーリングとは全く違った魅力があるんです。
今回はカーリングのミックスダブルスと4人制を比較して、ミックスダブルスの魅力を紹介していきます。
ミックスダブルスと4人制
まずはミックスダブルスと4人制カーリングの違いをみていきましょう。
ミックスダブルス | 4人制 | |
チーム人数 | 男1名、女1名 | 同性4名 |
試合エンド数 | 8 | 10 |
エキストラエンド | 8エンド終了時同点 | 10エンド終了時同点 |
ハーフタイム | 4エンド終了時5分 | 5エンド終了時7分 |
エンド投球数 | 5ストーン | 8ストーン |
投球順 | 1人目:1・5投目 2人目:2・3・4投目 | リード:1・2投目 セカンド:3・4投目 サード:5・6投目 フォース:7・8投目 |
持ち時間 | 22分 | 38分 |
エキストラエンド 持ち時間 | 3分 | 4分30秒 |
平均試合時間 | 1時間30分前後 | 2時間30分前後 |
得点方法 | 4人制と同じ | |
第1エンド開始時先攻・後攻 | 4人制と同じ | LSD (ラストストーンドロー ) |
パワープレイ | あり | なし |
プレイヤーが2名しかいない分、4人制に比べてエンド数は少ない、ハーフタイムは少ない、試合持ち時間は少ないなどは予想つきそうですよね。
しかし、エンド開始時にハウス内とハウス手前にストーンが1つずつ配置されているとか、投球順が交互ではないとか、パワープレイがあるとか、わたしも知ったときはかなり衝撃的でした。
ミックスダブルスのエンド開始時ハウス状況はこんな感じです。
先攻チームのストーンが赤、後攻チームのストーンが黄色です。
第1エンドの先攻、後攻はLSD(ラストストーンドロー:試合直前の練習時に各チームの選手がストーンを投げてハウスの中心部からの距離を測ってその距離が小さいチームが選択する)で決めます。
パワープレイのエンド開始時ハウス状況はこんな感じです。
通常のエンド開始時のストーン配置とは異なった状態でエンドがスタートします。
パワープレイは1試合に1度だけ後攻チームが選択できます。
パワープレイが用いられる状況としては、大差で負けているチームがビッグエンドを作って点差を縮めたいとき、負けているチームが逆転したいとき、勝っているチームが点差を大きくしたいとき、などがあります。
ミックスダブルスの魅力
それではここから4人制カーリングにはない、ミックスダブルスの魅力について紹介していきます。
常にビッグエンド可能性大
ミックスダブルスのルールで、ハウス内のストーン、ハウス外のストーン、どちらも後攻チームの2投目まではストーンに当たっても問題ありませんが、弾き出すことは禁止されています。
先攻チームの1投目はハウス内センターライン付近のストーン前にくっつけるドローショット(フリーズショット)を狙うことが多いです。
後攻チームの1投目もハウス内センターライン付近にストーンを置きにきます。
各チーム投げられるストーンは5つしかないので、ガードストーンをはじき出して自チームのストーンも無効にするよりも、ハウス内にストーンを貯める戦略をとります。
その結果、ハウス内にストーンが集まりやすく、大量得点のビッグエンドや後攻チームに1点を取らせるスチールが多くなります。
野球で例えるとノーアウト・ランナー1塁2塁で毎回攻撃スタートしている感じでしょうか。
自らスイープ
1人がショットに入るとき、もう1人はハウス近くでショットの指示を出していることが多いです。
つまり、ミックスダブルスでは4人制のように誰かにスイープしてもらえるわけでなく、ショット後は投げたストーンを自ら追いかけて自らスイープする必要があります。
これは女子選手にとってはかなり大変です。
各エンド5投のうち3投は男子選手が投げる(さらにスイープする)チームが多いのもわかりますね。
重要なコミュニケーション
4人制ではショットする選手とスキップの2名でストーンの曲がり具合やアイスの状態を1投ずつしっかり確認できます。
ミックスダブルスではショットする選手もしくはハウス付近で指示を出す選手1名でストーンとアイスの両方を確認しなければなりません。
ストーンとアイスだけでなく、お互いの体調、戦略、戦術、ミスしたときの対応など、ハーフタイムはもちろん試合中も会話を途切らせることなく情報共有することがミックスダブルスでとても重要になります。
大事なショット順
わたしが初めて観戦したミックスダブルスは2018年日本ミックスダブルスカーリング選手権で優勝した藤澤山口ペアの試合でした。
1投目を投げる藤澤選手がハウス中心にストーンを置くドローショットを決めます。
2投目から4投目を投げる山口選手がテイクアウトショットで相手ストーンをハウス外へ弾き出します。
山口選手のテイクアウトがうまくいかず、ハウス内が難しい状況になっても、5投目を投げる藤澤選手が精度の高いショットで得点します。
4人制でセカンドの山口選手はテイクアウトショットが得意ですし、スキップの藤澤選手もフォースとして大きなプレッシャーのかかるエンド最後に投げるのは慣れていますし、藤澤山口ペアにはこのショット順が最適なのだと感じました。
ミックスダブルスならでは
山口選手がウェイトの速いショットをしたときにスイーパーがいないにもかかわらず、イェス(スイープしろ)やウォー(スイープするな)を叫んでいる場面がたくさんありました。
山口選手いわく、
目に見えないスイーパーに指示を出している(笑)
とのことです。
ストーンがまさかその指示どおりに動くとは思いませんが、4人制でセカンドの山口選手が投げるときは常に2名のスイーパーがいるので、つい叫んでしまう気持ちはよくわかります笑。
4人制では常にスキップで、ほとんどスイープしない藤澤選手が自ショット後にストーンを追いかけて激しくスイープする、スイーパー藤澤選手がみられるのもミックスダブルスならではです。
まとめ
カーリングのミックスダブルスの魅力を紹介しました。
- 常にビッグエンド可能性大
- 自らスイープ
- 重要なコミュニケーション
- 大事なショット順
- ミックスダブルスならでは
4人制カーリングとミックスカーリングの違いも紹介しました。
2つのストーンが配置されたエンド開始、男女と交互ではない投球順、パワープレイと呼ばれる一発逆転チャンスなど、4人制カーリングにはないミックスダブルス独自ルールは面白いですよね。
ここまで読んできてミックスダブルスに少しでも興味がわいたあなた!
日本ミックスダブルスカーリング選手権が軽井沢アイスパークにて、2019年3月12日から17日の日程で開催されます。
2018年同大会優勝の藤澤山口ペアも参加予定ですよ。
4人制だけでなく、ミックスダブルスカーリングも注目していきましょう!
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