カーリングでギブアップではなくコンシードが使われる理由

カーリングカーリング

2019年(平成31年)2月に開催された日本カーリング選手権女子決勝はロコ・ソラーレのコンシードによる中部電力の優勝で幕を閉じました。

恥ずかしながら「コンシード」という言葉をこの試合で初めて知りました。

自ら試合の負けを認める言葉に「ギブアップ」もありますが、カーリングではなぜ「コンシード」なのか?

今回はカーリングのルールにコンシードがある理由、コンシードとギブアップの違い、コンシードがある他の競技について紹介したいと思います。

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カーリングにおけるコンシード

野球やサッカーなど審判が存在する競技と異なり、審判が存在しないセルフジャッジ競技のカーリングではスポーツマンシップが重要視されています。

スポーツマンシップだけでなく、相手チームが失敗するようにプレイの邪魔をしたり、相手チームの失敗を喜んだり、フェアプレイに反する言動は慎むことも重要視されています。

自チームに勝ち目がないと判断して、潔く負けを認めて、相手に握手を求める形で表現する習慣のことを「コンシード」と呼び、これもフェアプレイの1つです。

カーリングにおけるスポーツマンシップとフェアプレイの精神は、カーリング競技規則の冒頭に「カーリング精神」として掲げられていて、カーリング競技の基本理念とされています。


カーリングは、技量と伝統のスポーツである。うまくいったショットを見ることは喜びであり、カーリングの真の精神が実践されているこのゲームの由緒ある伝統を目にすることは同じく素晴らしいことである。

カーラーは勝つためにプレイするのであって、決して対戦相手を貶めるためにプレイするのではない。真のカーラーは、決して相手の気をかき乱そうとはせず、また相手が最善を尽くそうとすることを妨げようとせず、そして不当に勝つくらいならむしろ負けることを選ぶだろう。

カーラーは決して故意にこのゲームのルールを破らず、またその伝統を見下さない。万一、不注意にもそのようなことを為してしまったと気づいたならば、誰に言われるまでもなく、自ら違反を申し出るものである。

カーリングというゲームの主たる目的はプレイヤー間の相対的な技量を明らかにすることであるが、一方でカーリングの精神は、善きスポーツマンシップ、温情、そして高潔な振る舞いを求める。この精神は、ルールの解釈や適用のしかたに生かすべきであるのみならず、アイスの上にあるとなきとにかかわりなく、すべての参加者の行動の指針となるべきものである。

引用:ウィキペディア

「カーリング精神」の中で、競技の中だけでなく日常生活においても人間としての行動指針となるべきものが書かれていることに驚きました。

カーリングのルールでは10エンドマッチの場合に6エンド終了後からコンシードを表明できます。

カーリング競技では常識的に勝つ可能性がないのに試合を続行することは、相手の技量を自分より下にみていると判断されるために好ましくないとされています。

コンシードとギブアップ

2010年(平成22年)バンクーバーオリンピック以前は「コンシード」と「ギブアップ」が混合してテレビ中継や新聞などで使われていました。

柔道やプロレス、総合格闘技などで使われる「ギブアップ」は、技を受けている選手が戦意喪失や試合続行不可能と判断した場合に審判に対して降伏意思を示すことで試合終了する言葉です。

一方「コンシード」は、日本語に直訳すると「許す、譲歩する、与える」の意味で、相手チームを故意に邪魔しない、不当に勝つくらいなら負けることを選ぶ、といったカーリング精神に書かれているとおりに試合終了する言葉です。

「ギブアップ」という言葉は日本人の間で浸透してますし、テレビを見る人も新聞を読む人も「コンシード」では理解できないと思います。

しかし2010年バンクーバーオリンピック以後は「ギブアップ」ではなく「コンシード」を使うメディアが増えてきて、やっと日本でも定着してきた気がします。

2019年日本選手権でも「コンシード」が使われていましたし、世界カーリング選手権でも「Concede (コンシード)」が使われることでしょう。

自ら諦めて負けを認める「ギブアップ」に比べて「コンシード」には、自分の負けだけでなく相手の実力も認めて相手の勝利を祝う意味があるように感じます。

カーリングには「ギブアップ」より「コンシード」が似合いますね。

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コンシードがある競技

コンシードがある競技はカーリング以外にもあります。

例えばゴルフのマッチプレイです。

打数ではなくホールの勝ち負けで競うマッチプレイで、自分が負けることが確実になったときにスロープレイを防止するためコンシードするのが一般的です。

ゴルフのほかにはチェスやオセロなどボードゲームもそうで、不利なほうが負けを認めて、本来対戦終了となる条件を満たすことがなくてもゲームを終了できます。

将棋や囲碁も「投了」という言葉があるように、相手の時間と労力の無駄をなくすためだけでなく、勝ち目のない対局を継続しても相手に失礼になる、という考えから対局を早期終了できます。

カーリング、ゴルフ、チェス、オセロ、将棋、囲碁に共通するのは、対戦相手のことを常に考えた上で自分の負けを認めることであり、「ギブアップ」ではなく「コンシード」を使う理由なのだと感じました。

まとめ

カーリング精神」はカーリング競技規則の冒頭に掲げられているカーリング競技の基本理念とされています。

ただ自らが諦めるだけの「ギブアップ」ではなく、相手の実力を尊重し、相手に失礼に当たらないように自らの負けを認めて、相手の勝利を祝福する「コンシード」はカーリング競技にふさわしい言葉です。

ゴルフ、チェス、オセロ、将棋、囲碁などもカーリング精神に通じるものがあり、「コンシード」や「投了」という言葉がふさわしいと感じます。

日本代表の負け試合は正直見たくないですが、コンシードすることになったとしても相手チームの勝利を祝福できる観客でありたいと思いました。

コンシード Concede

カーリングの精神を示す大事な言葉ですので覚えておいてくださいね。

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ミッシェル

ブログ管理人のミッシェルです。

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